ASTER GDEMをもうちょっとだけ見てみる

ASTER GDEM、たくさんダウンロードして地形を眺めるといった遊びはまだできないので、ダウンロードできた1タイルでいろいろ遊んでいます。d:id:Yusuke_S:20090704の続き的なものです。GDEMの精度検証とか大それたものではなくて、これからGDEMを使うにあたって、どんなデータか見てみます程度のものです。富士山南西部分の限られた範囲での検討ですし、精度検証みたいなことをやっているわけではありませんのでご注意ください。GDEMの記事に結構アクセスがあるみたいなので念のため。
というわけで。
使っているデータはd:id:Yusuke_S:20090704のときと同じ、GDEM・基盤地図情報10mメッシュ(標高)・SRTMです。GDEMとSRTMの差分をとってみます。

まずはSRTM。「10mメッシュ−SRTM」です。10mメッシュの方が標高が高いときは赤、低いときは青になるように色づけしています。
基盤地図情報10mメッシュ(標高)とSRTMの差分
基盤地図情報10mメッシュ(標高)とSRTMの差分(背景の陰影は10mメッシュ)
・・・・これは、南西側斜面で10mメッシュがいつも高いですね。相対的にSRTMが北東側にずれて(というと語弊があるかもですが)いるということですね。水平方向のずれによって標高値の違いが出ているようですので、富士山の中〜高標高部とか富士宮市東側の天子山地みたいな急傾斜地では差分値が大きくなっています。
つぎにGDEM。「10mメッシュ−GDEM」です。色づけはSRTMの差分と同じです。
基盤地図情報10mメッシュ(標高)とGDEMの差分
基盤地図情報10mメッシュ(標高)とGDEMの差分(背景の陰影は10mメッシュ)
うーん。不思議な感じになりました。気がついた特徴は・・

  1. 一番目をひくのは富士山。北西と南東は10mメッシュの方が高くて、それと直交する北東と南西方向はGDEMが高い・・。
  2. 全体的にGDEMはピークの高さが低い(ピークや尾根は赤い(10mメッシュが高い))。
  3. 富士宮市街地とか、そういうところは10mメッシュが高い

1はステレオマッチングの問題かなぁ。前回のエントリでも書きましたが、富士山の南西側は1707年宝永噴火のスコリアが積もっていてのっぺりした斜面で、自動ステレオマッチング的には難しいのかもしれませんね。北西側はよくわかりませんが。
  
左:富士山南東斜面 右:富士山北西斜面
2のピーク標高と3の市街地の件はよくわかりません。GDEMはDSMなので、市街地はむしろ10mメッシュよりも高い標高値になっていると思っていたのですが。なぜだろう。



差分結果をグラフにすると↓みたいな感じです。
基盤地図情報10mメッシュ(標高)とGDEM、SRTMの比較
SRTMは分かりやすいですね。南西向きのエリアで10mメッシュが高く北東向きのエリアでSRTMが高い。あと、傾斜と差分値の関係を見ると、急傾斜になるほど差分値のばらつきが大きくなっているみたいですね。差分値のヒストグラムは素直な形をしています。
GDEMは傾斜とか傾斜方位とはあまり関係なさそうです。南向き斜面で差分値のばらつきが大きくなっているようにも見えますが、これは対象範囲そのものに南向き斜面が多いためと思います(参照)。むしろ差分値のヒストがバイモーダル(といかブロードというか)になっているのが特徴です。これは、いろんなシーンから計測した標高値をまぜて作っているため、各シーンの計測誤差がいろいろ混ざっているからじゃないかと想像しますがどうでしょう?

ええと、あれこれやっては見たものの特に結論はありません。図表も自分向けメモのため、あんまり見やすくありませんね・・。とりあえず、GDEMは約30mメッシュと高解像度なのですが、結構ノイジーな印象で、高精度っていうのは微妙に違うかなぁという印象。地形判読的なことに使おうと思ったときに、SRTMよりも取り扱いに注意したほうがよいかもしれない(偽地形的に)。それよりも、シームレスで高緯度地方まであるというところが重要ですよね。もちろん、地図未整備地域ではとっても有用と思います。